一昨日にJR大阪駅近くにあるグランフロント大阪北館で、高野山大学フジキン小川修平記念講座講演会が開催されました。2年前にも同じ趣旨の講演会を聴いてこのブログでご紹介した事があります。参加費は無料で事前にインターネットで申込み予約を確定し、高校時代の友人と南海の難波駅で待合わせをして、道頓堀で一緒に昼食を食べてから、大阪駅に移動して2人で講演会場へ行きました。 高野山大学密教文化研究所を中心に『 宗教と科学の対話 』をテーマに、(株 )フジキンの後援の元で定期的に開催されています。科学者や宗教学者による講演で、生命観や宇宙観について興味深い話をされました。 10月1日PM1:30より三人の講師の方々による講演でした。館内は撮影禁止。2枚の写真はインターネット上の講演会の案内板から拝借しました。 開会の挨拶。高野山大学学長の藤田光寛氏 科学の急速な発展に伴い生活環境は劇的に変化し、自然環境・生命倫理・平和の問題が山積するようになってきた。一方で、宇宙とは・生命とは・心とは、と言った根本的な問いはまだ解明されていないと言われました。 真言密教では山川草木の全てのものには『 いのち 』があり自己と本来的には同質である。宇宙や生命の根本的な問いをめぐる対話に参加して、現代社会の諸問題の道標を示し、その解決に僅かながらでも貢献していきたいと言われた。 1.中村修二教授( ノーベル物理学賞の受賞学者 ) 講演タイトル『 イノベーションー日米環境の違い 』 青色発光ダイオードの発明で日本人3人が、2014年にノーベル物理学賞を一緒に受賞しました。その中の一人です。日亜化学工業で世界初の高輝度青色LEDの開発に成功しています。同時に受賞した赤崎勇教授と天野浩教授は開発し中村修二教授は量産化、と言う図式でマスコミから言われるのは間違っていると言われていました。3人とも青色LED発明に貢献しています。 日亜化学工業を退社して米国に行ってすぐに、会社から秘密漏洩の疑いで米国にて提訴されました。その反訴として発明の相当対価と特許権を求めて日本で日亜化学工業を提訴しています。裁判所は会社に対し約200億円の支払いを命じる判決を下したが、高裁で和解が成立し、約8億円の支払いで一件落着しました。 イノベーション( 研究開発 )に対する日米環境の違いについて述べられました。 後半は会社での研究開発の苦労話と、具体的な光スペクトルの図式や実験設備等の解説も有りました。LEDの照明は電力の節約になり、世界で15億人の電気の無い生活をしている人の為にも、LED照明を普及させたいと言われていました。 2.鮎澤 聡准教授 ( 筑波技術大学 ) 講演タイトル 『 祈りは遺伝子をうごかすか? 』 遺伝子は、世代間での情報の継承だけでなく、生命活動の調整にも関わっており、遺伝子が働くか(オン)・働かないか(オフ)を通して多様になされると述べられていました。心のあり方が遺伝子の働きに影響を与えるかを考察し、僧侶の祈りが遺伝子のオン・オフに影響するとの研究発表でした。祈りと言う宗教的な所作の意義を科学で明らかにしていく、宗教と科学の共同作業で有り融合と言えます。 『 祈り 』はストレスを軽減し、DNAが良い方向に変化して、NK細胞(ナチュラルキラー)の活性が向上して、がん細胞の増殖を抑えるとの話をされていました。DNAは転写→翻訳→発現の手順で、僧侶による護摩行( 前・途中・後 )で血液を採取して、特徴的な代謝物を見つけたとの報告をしていました。免疫系の遺伝子が良くなるとの見解でした。 遺伝子のオン。社会性・生きがい・瞑想等 遺伝子のオフ。孤独・自己満足等 瞑想による直感が重要で、宇宙との繋がりを感じて自信を回復すると、遺伝子に適切な良い働きをもたらすと言われていました。心が平安で澄みきっていれば、生命体はDNAを介して良い方向に進むとの見解でした。 3.松長有慶猊下 ( 高野山真言宗前管長 ) 講演タイトル 『 密教の観法・祈りの構造について 』 昔は科学と宗教は同じだったと冒頭で述べられました。古代から近代に至るまで大自然の解釈において、科学と宗教は同列で扱われていた。現代は物心二元論で科学と宗教的な心は分離してしまった。 祈りとは、生命へのアプローチ。 @ 現世利益 ーー 家内安全・病気平癒 A 期待 ーー 幸運を祈る・成功 B 追悼 ーー 冥福を祈る・慰霊 C 感謝 ーー おかげさま・収穫 D 請願 ーー 誓いを立てる・48願 E 回向 ーー 自己の功徳を他に回す F 苦行 ーー 懺悔・作善 7種類の祈りの行為は『 平和と健康 』に功徳がある。 講演会は満席で中高年の聴講者が大多数でした。各講演の間に10分くらいの休憩があり、受付で先生方の書籍も発売されていました。私は松長有慶著の『 空海、般若心経の秘密を読み解く 』般若心経秘鍵の解説書を購入しました。 講演会場で一冊購入。般若心経秘鍵は空海が最も思想の円熟した最晩年の著作で、真言密教のエッセンスが充満した書物です。漢文やサンスクリット語も入った内容で少し難解ですが読んでみようと思います。 講演会が夕刻に終了し、梅田から地下鉄で移動して帰路につきました。友人からは、お土産に秋の味覚の『 柿 』を頂きました。紀の川沿いの橋本市は平核無柿(ひらたねなしがき)の産地で、種の無い渋柿ですが、炭酸ガスで渋抜きをしており大変美味しい柿です。 いつも気持玉を頂き有難うございます。 |
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さすがは高野山。ずい分スケールの |
yasuhiko 2016/10/03 13:30 |
宇宙から科学、果ては宗教へと繋がりがある幅広い講演会でしたね。しかも中村教授の講演も。赤崎さんと天野さんは地元愛知県のお方でした。今年のノーベル賞もまもなく発表ですね。日本人候補者が6人おられるといわれていますが日本人の功績は計り知れないほど立派ですね。 |
みなみ 2016/10/03 17:26 |
yasuhikoさん こんにちは。 |
華の熟年 2016/10/04 13:21 |
みなみさん こんにちは。 |
華の熟年 2016/10/04 13:24 |
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